現代の日本は、かつてないスピードで進む超高齢化の波と、少子化に伴う急激な人口減少に直面している。
高齢化においては、2030年頃には約800万人におよぶ団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者に達するとされている。
これは「2030年問題」と呼ばれ、現役世代の不足が決定的になる時期として危惧されている。
この流れは加速の一途をたどっており、日本人がこれまで当たり前に享受してきた社会システムの維持が難しくなることが予測されている。
そんな少子高齢化の深刻な影響が避けられないのが医療の現場である。
高齢者の増加によって医療ニーズが爆発的に膨れ上がる一方で、現場を支える医師や看護師の数は減り続けていく。
需給バランスの崩壊後には、必要時に適切な医療を受診できない医療難民が続出する恐れがある。
近年、救急車がたらい回しにされる事案も発生しており、従来の病院完結型では対応しきれない限界がすぐそこにまで迫っているのだ。
深刻な状況を乗り越えるためには、従来の仕組みに固執せず、医療に対する抜本的な考え方の転換が不可欠である。
そこで重視すべきなのが、国民一人ひとりの予防意識の向上だ。
「病を患ったら医療にかかる」ではなく、その前の病気を未然に防ぐ健康管理こそが、医療ひっ迫を助ける手立てとなる。
各自が健康管理を自分事として捉えるよう、地域全体で定期健診を推奨し、健康教室をはじめとする医療予防啓発を展開していくことが、2030年という大きな節目を越える重要な条件となるだろう。
加えて、公的なサービスに頼り切るのではなく、住民同士のコミュニティの構築や、テクノロジーを駆使した見守り体制の構築も重要といえる。
国や自治体の施策を待つだけでなく、私たち一人ひとりが未来の医療の在り方を考え、変革していく姿勢を持つことが求められているのだ。